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人生が、ラブストーリーでありますように。
私は、「その人」との約束を破った。生まれて初めて愛した異性。生まれて初めてバレンタインデーに、チョコレートを贈った相手。完璧な人生の先輩。愛妻の存在は知っていたけど、私は本気だった。なのに、だんだん欠点が見え始めた。大切な特に、仕事。束縛。年下の私をいつまでも子供あつかいすることにも我慢できなくなった。会話が途切れた。長い年月…。そして大学を出た私には、他に好きな人が。どこか「その人」に似ていた。結婚を決意。「その人」は黙っているだけだった。式は2月14日。新しい恋人に私が愛を告白した日。その朝、「その人」と二人きりで会い、お別れのチョコレートを贈った。「約束を破ってごめんね」という言葉に、「その人」と私は数年ぶりの笑顔をかわした。バージンロードへ向かう私は、守れなかった「約束」を心の中でくり返していた。「大きくなったらパパのお嫁さんになるの」チョコレートで、愛を伝える日。チョコレートは、明治。
「スイートライフ」2007年 明治製菓の広告 バレンタイン お菓子 山田尚武
人は、書くことと、消すことで、書いている。
消しゴムを使う人を見ると、あ、この人はいま、一生けんめい闘っているんだな、と、なんだかちょっと応援したくなります。自分の想いを、正しく、わかりやすく伝えるにはどう書けばいいのか。それと真正面から向きあい、苦しみ、迷いながら、でもなんとか前へ進もうともがいている。消す、という行為には、人間の、そんなひたむきな想いがこもっている気がしてなりません。文房具づくりにたずさわって、まもなく100年。トンボは、「書く道具」と同じくらい、「消す道具」を大切に育ててきました。日本の定番といってもいい消しゴム。品質をみがくことで、大きな市場を切り開いた修正テープ。そこにあるものを、すばやく、美しく、カンタンに消し去ることで、この世にほんとうに生まれて来なければならなかったものが姿をあらわしてくる。消すことは、また、書くことである、と信じるトンボです。トンボが動いている。人が、何かを生み出している。
株式会社トンボ鉛筆 2006年 広告『消しゴム篇』 岩崎俊一 岡本欣也
ロケットも、文房具から生まれた。
文房具と一緒にいる時、ひとはとてもいい顔をしている。つくづく、そう思うことがあります。書く。ひたすら書く。机に向かうその清潔なまなざし。手を休める。思いをめぐらす。遠くを見つめるそのやわらかなまなざし。考えている。苦しんでいる。迷っている。もがいている。でも、まちがいなく前へ進もうとしている。思えば、文房具は、人間のそんな素顔を、なんと長い時間見つめてきたことでしょうか。幸福な仕事。自分たちの仕事を思う時、私たちトンボは決まってこの言葉に行きあたります。なぜなら、私たちのそばには、いつも頭と心をいっしょうけんめいに使う人がいて、その人の手から、必ずひとつ、この世になかった新しい何かが生み出されている。そう思うたび、誇らしさに胸がいっぱいになります。傷つきやすく、たくましい。弱くて、かしこくて、とほうもなくあたたかい。そんな人間が、いちばん人間らしくあろうとするときに必要なもの。トンボは、これから先も、ずっと人間のそばで暮らしたいと願っています。
トンボが動いている。人が、何かを生み出している。
株式会社トンボ鉛筆 第14回中日新聞広告賞部門賞を受賞 大手文具メーカー 文房具 2006年 岩崎俊一 岡本欣也



