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成人式 キャッチコピー
孤独を学べ。
大人って何だろう?歳を取れば誰だって大人になる?そんなはずはないに決まってる。こうすれば大人になれると 書いてある本はどこにもない。それでも世間には素晴らしい大人とそうでない人がいる。なぜだろうか。たぶん生き方なんだろう。大人になるために何からはじめるか。私はこう思う。自分は何のために生まれてきたか。自分はどんな人になりたいか。それを考えることだ。考えること、その答えを探すことには不可欠なものがひとつある。それは一人で考え、一人で歩き、一人で悩むことだ。孤独を学べ。孤独を知ることは、他人を知ることだ。人間はお金のために生きているのではない。人生は出世したり贅沢をするのが目的ではない。生きる真理を見つけることだ。社会の真実を見る人になることだ。そうして何より明るくて、溌剌とした人になろうじゃないか。明るい人って、見ていて気持ちがいいじゃないか。今日一日、人生を考えたら、君と初めて乾杯をしようじゃないか。酒は喜びと悲しみの友だ。新成人おめでとう。君の未来に乾杯。
伊集院静 サントリー ウイスキー 成人式 成人の日 お酒 新成人新聞広告2012年
世界を見よう。真実を知ろう。
新成人おめでとう。君は今日どこで二十歳の日を迎えただろうか。社会は君を今日から大人と呼ぶ。しかし君が知るとおり、今、日本も、世界も歴史にない不況に直面している。その原因はこころない大人が金を得ることを人生のすべてと考えたからだ。金さえあれば何でも手に入ると卑しいこころを抱いたのだ。自分だけが裕福ならいいとしたのだ。その大人たちの大半は先進国で最高の学問を修得した人たちだ。なぜこんなことが起きたのか。それは人が生きる上で何が一番大切かを学ばなかったからだ。若い時に裕福に目が向き貧困を見なかったのだ。日本は大国なんかじゃない。ちいさな国の、君はちいさな存在だ。しかし君の未来は、時間は、可能性は限りなく大きい。家族や友を想う気持ちは素晴らしいことだ。世界を見よう。真実を知ろう。君と同じように他人のことを自分のことと考えられる大勢の若者がいる。自分だけが、日本だけがよければでいけないはいけないことを学ぼう。さあ外へ出よう。世界を見よう。真実を知ろう。歩き疲れたら一杯のウイスキーでこころを休めて、また歩き出そう。二十歳の君に乾杯。
伊集院静 サントリー ウイスキー 成人式 成人の日 お酒 新成人新聞広告2009年
大いに遊び給え、大いに飲み給え。しかし、社会のルールを確りと守り給え。
今年は酒場のことを教えよう。酒場へ行くなら、超一流の酒場へ行き給え。安っぽい酒場で飲むな!超一流というのは「いわゆる銀座の高級酒場」のことではない。まず、カウンターのない酒場は失格だ。できれば、カウンターがあって、そこで立って飲ませるような酒場を選び給え。若いんだから、立って飲め。六時開店、十一時閉店という店がいい。終電までに帰れ。タクシーで帰宅するのは二十年早い。ママさんが、美人でスター気取りであるような店は避け給え。バーテンダーは無口なのがいい。「金を払っているのだから何をしてもいい」と思っている客は最低だ。だけど、超一流の酒場へ行っても怖気づくな。なぜならば、きみは「金を払っている客」なのだから・・・。正々堂々、平常心でいけ!目立ちたい一心で、隣の客に話しかけたりするな。キチンと飲み、キチンと勘定を払い、キチンと帰るのを三度続ければ、きみは、もう、超一流の酒場の常連だ。立派な青年紳士だ。店のほうで大事にしてくれる。なんだ、酒場の話かと思うかもしれないが、そうじゃない。僕は新しく社会人になったきみたちに社会のルールを説いているつもりだ。大いに遊び給え、大いに飲み給え。しかし、社会のルールを確りと守り給え。
酒場考 山口瞳 サントリー ウイスキー 成人式 成人の日 お酒 新成人新聞広告1986年
君達は大金持ちだ!
成人の日を迎えた諸君、おめでとう。君達は二十歳になった。(こう書いてきて、突然、僕は君たちを煽動したい気持ちになってきた)二十歳になった諸君は、七十歳まで生きられるとして、あと五十年の歳月がある。君達の持時間は五十年間だ。ああ、何という豊饒の歳月であることか。五十年間かかってやり遂げれれないことは何ひとつとしてない、と僕は考える。君達は実にリッチなのだ。君達は大金持ちだ。その点に関して、君達は威張っていい。自信を持ち給え。君達のなかには面白くもない暮らしを強制されている人がいるかもしれない。それだって。一日のうち二時間か三時間の自分の時間を作ることは可能だろう。その三百六十五倍の五十倍という時間を君達の誰もが持っているんだ。ああ。気が遠くなる。ただし、条件がある。志がなければ駄目だ。じゃあ「志って何だ」と訊かれると僕は困ってしまう。我が師 吉野秀雄先生に、こんな歌がある。「屑煙草集め喫へど志す高き彼物忘らふべしや」これは先生の歌としては上々の出来ではないかもしれない。「高き彼物」って何だろう。よくわからない。・・・わからないけれど、僕は、失意のとき、この歌を呪文のように唱えたものだ。すると、不思議に体に力が湧いてきた。二十歳になった諸君!まあそういうことだ。とりあえず、乾盃しよう。
酒場考 山口瞳 サントリー ウイスキー 成人式 お酒 新成人新聞広告1985年